unreal arimura you - 非実在有村悠 -

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ラブライブ! μ's Best Album Best Live! Collection

ラブライブ!  μ's Best Album Best Live! collection 【Blu-ray Disc付 通常盤】

ラブライブ! μ's Best Album Best Live! collection 【Blu-ray Disc付 通常盤】

 一昨年の春に『電撃G's Magazine』誌上連載企画がスタートし、あれよあれよという間に大量のCDをリリース、初ライヴ、そして今冬のアニメ化へとこぎつけた『ラブライブ!』。9人の女子高生たちが、母校を廃校の危機から救うべくスクールアイドルとなり、学校の魅力をアピールするという内容なのだが、まあどこからこんなに金が出ているんだと思うほどアニメーションPVのクオリティが高い。聞くところでは、1曲あたり約4~5分のアニメーションに30分クラスの予算がつぎ込まれているのだとか。2D作画と3DCGを違和感なく組み合わせて、動きまくるもんなあ。

 で、そんな9人がこれまでにリリースしてきた大量のマキシシングルをCD2枚組に詰め込んだのがこのベストアルバムである。個人的に、単にシングルをリリース順に詰め込んだだけで「ベストアルバム」と称する商法は好きではないのだが(多少はアルバム曲とかからもセレクションしろよ。まあこの場合アルバムが存在しないのでしかたがないが)、いちいち十数枚買う手間が省けたのでよしとしよう。

 前述のとおり。基本的にリリース順となっている。すなわち、μ's(つまり9人全員)全体のシングル→3つのユニットのシングル→再びμ'sのシングル→デュオ・トリオ曲→ラジオ番組からのスピンオフシングル。これで計31曲。よくもまあ、次々とリリースしたものだ。

 曲調はかなりヴァラエティに富んでいる。基本的に最近の流行を反映してか、(幾分保守的なアイドルマスターなどに比べて)テクノポップ調の曲が多い。たまにサルサ風の曲や、70・80年代アイドル歌謡のパロディのようなものを取り入れてみたり。ちなみに作詞はすべて畑亜貴が担当。どんだけ仕事すりゃあ気が済むんだこの人は。

 歌の巧拙はまあ、十人十色(九人九色?)である。もともと歌手をやっていた西木野真姫役のPileなどはガチで上手い。園田海未役の三森すずこや、絢瀬絵里役の南條愛乃もかなり上手いほう。逆に南ことり役の内田彩や東條希役の楠田亜衣奈あたりは……まあ、可愛さで売っていくということで(婉曲表現)。で、それぞれの役どころや声質、上手さに合わせてユニット曲やデュオ曲・ソロ曲も作られている手の込みよう。まあ、オトナな魅力で押していくと思われるBiBiになぜかにこにー、もとい矢澤にこが入っているのはちと解せぬが。

 ちなみに1月3日、新年早々彼女たちのライヴを取材する機会があった。あいにくプレス席が立ち見で、観客にさえぎられてステージもバックスクリーンもろくに見えず難儀したのだが、熱気は十分に伝わってきた。南條だけ欠席だったのでその分を星空凛役の飯田里穂と小泉花陽役の久保ユリカが必死でカヴァーし、終演後のトークでは安心したのか飯田が泣き出してしまったり。ああいうところを見せられると、アイドルとファンの一体感というか、応援したくなるのもわかろうというものだ。

 で、6日からはいよいよアニメの放送が始まった。期待にたがわぬクオリティーで大満足である。これからもOP・EDシングルや挿入歌のシングルをえげつないほど出していくもようで、いったいどれだけファンから搾取するのやら、戦々恐々である。つまりぼくもすでにファンになってしまっているということなのだけど。こんなアルバムをわざわざ買ったくらいだし。